古代より、文人は修養を積むうえで、「琴・碁・書・画」、この「四芸」を身につけるべしとされてきました。
「琴」が表すのは、万物が生きていればこそ、そこには音が生まれる、ということです。
音とは、すなわち生命です。
天籟(てんらい)の音、その響きに耳をかたむけるとき、
わたしたちの心は宇宙へとその想いを馳せていきます。
「碁」は、経緯度にそって歩むこと、つまり人生の過程を表します。
人生には、「勝」があり、「負」があり、ゆえに、
すっきりと瀟洒(しょうしゃ)であることが、いかに大事かを、
碁を通じて、わたしたちは悟ります。
「書」は、単純な線を動かし、わたしたちが気と力の流れに自己をゆだねるうえで、最高の表現形式です。
「画」は、万物の起源色としての白と黒を用いて、
わたしたちとともにある大自然の風景、遠近、動静を表現します。
黒い墨で、白い紙の上に、それらを絶妙に、そして味わい深く、再現していきます。
以上のような「琴碁書画」を身につけることは、
文人になる基準として、今から二千年前、中国の聖人―孔子先生が定め、
その後、「琴碁書画」は、文人たちの嗜み(たしなみ)になりました。
遠い昔に、中国の伝統文化「琴碁書画」が日本に伝わり、
その後、長い時を経て、日本文化と融合し発展してきましたが、
今日、物が豊かな世界に生きる現代人のわたしたちは、
それらの伝統文化のもつ魅力に充分に気付いているとはいえないのかもしれません。
「琴碁書画」に親しみ、たしなむことで、
東洋の伝統文化が伝える心の豊かさを
あなたにもぜひ味わっていただけたらと思っております。
「琴碁書画」を愛好する方がこれから一人でも多く増えていくことを願っています。